厳しい品質基準を糧に高度な技を磨く2017.03.30

現在約20人のスタッフが働くヤマサキ商店は、1958年に現社長の祖父と父が創業して以来、受注生産メインで基本に忠実なかばんづくりを続けてきた。当初からピアノ線をフレームに使ったソフトアタッシェケースなどを得意としてきたが、転機は大手ブランドのOEMを手掛けるようになった20年ほど前のこと。

「それまでの仕事は多少の不良を出しても許される雰囲気があったのですが、まったく次元の違う厳しい品質基準が課せられるようになり、白髪がいっぺんに増えました(笑)。新しい素材への対応も必要で、いかに質が高いものを効率良く仕上げるか、ミシンのメーカーとも一緒に知恵を絞って工夫を重ねましたね。とにかく最初の10年間は、休む間も惜しむほど必至でした」
そう振り返るのは、社長の山崎俊幸さん。数社の厳しい得意先の仕事をすることで自分たちのレベルも上がるという思いのもと、毎年発案される新製品と懸命に向き合ってきた結果、製造技術は飛躍的に向上した。豊岡産かばんオフィシャルショップ「トヨオカ・カバン・アルチザン・アベニュー」では、ヤマサキ商店の数少ないオリジナル商品も扱っているが、そのひとつは山崎さん自身がデザインしたもの。そこには、補強のポイントから使い勝手を高める工夫まで、数多くの得意先との仕事で長年蓄積してきたノウハウが凝縮されているという。
「そのノウハウはもちろん取引先の仕事にも還元します。私たちの技術が認められ、最近は商品づくりの相談もしていただける得意先もできるようになりました。かばんづくりは、工芸職人ほどの緻密な技はいらないけれど、腕がいい職人がつくれば1万円の商品が10万円になることもあるし、その逆もある世界。腕を磨けば自分の表現力を発揮でき、店頭に並べはすぐに結果もわかります」

今なおさらなるレベルアップを目指し、どうすれば作業を速くできるか、何を変えれば品質が良くなるか、自らも毎日のようにミシンを踏んで試行錯誤しているという山崎さん。常に上を目指す努力の積み重ねこそが会社の財産になっている。そんなヤマサキ商店では現在、営業職と生産管理職を募集しているが、求める人物像について山崎さんはこう語る。
「理想を言えば両方できる人。私どもはメーカーなので、たとえ営業でもデザイナーと直接話をして、生地や構造の提案をしなきゃいけないこともあり、単なる御用聞きではありません。生産管理も市場のニーズや全体の工程を熟知していなければ、外注先を含めてきちんと指導ができません。だからまずは縫製から始めていただきます。経験がなくてもまじめでやる気があればしっかりと指導しますよ」

入社した若手のなかには、豊岡市内の鞄縫製者トレーニングセンターで基本を学んだ腕を見込まれ、入社後まもなくオリジナル商品づくりの担当に抜擢され、全工程を任せられているスタッフもいる。職人として道を究めるのはもちろん、将来的に経営者を目指すのも大歓迎。むしろ、独立したいというぐらいの気概がある人が望ましいという。

企業情報

有限会社ヤマサキ商店
  • 住所〒668-0045 兵庫県豊岡市城南町21-7
  • 電話番号0796-22-3249
  • FAX番号0796-22-1355
  • 代表者氏名山崎 俊幸
  • 創業昭和33年
  • 設立平成3年
  • 主要業務鞄製造
  • 従業員数23名

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