店舗に訊く2019.03.26
豊岡鞄
東京・KITTE丸の内店(https://toyookakaban.com)
豊岡が、地名なのか人名なのかもわからない
ならば、豊岡と豊岡鞄を共にPRすればいい
2018年9月、東京丸の内の商業施設KITTE内に豊岡鞄の旗艦店がオープンした。あれからほぼ半年、店の責任者である井川和久氏にお店を案内していただきながらお話を聞いた。
お店にお邪魔したのは3月初旬の平日、開店時間の午前11時。ランチタイムともなれば大勢のビジネスマンやビジネスウーマンで賑わうKITTEも、この時間帯はまだそれほどでもなく、思いのほかご年配の女性が多い。
店に入って最初に目に飛び込んできたのは、一番奥に飾られた色とりどりのランドセルだった。(株)羽倉のランドセルだ。
「ここで販売はしていません。展示だけです。かばんの展示だけするのも初めてですし、羽倉さんの商品を扱うのも初めてです。羽倉さんは、4月に東京で展示会がありまして、その告知も兼ねています」と井川さん。なるほど展示会の詳細を知らせるリーフレットがランドセルのそばに置かれている。時期的にはタイムリーな展示だし、豊岡鞄の多様性をアピールするのにもいいアイディアではないだろうか。
色とりどりのランドセルが目に飛び込んでくる。
「オープンから3ヵ月経った昨年の12月から現場主導で、売れる商品を厚めに置いたりですとか、オープン当初と少し陳列の仕方を変えました。オープン時の棚に比べると、商品と商品の間隔が狭くなって、かなり陳列数は増えています。それもあって12月はかなり売れ行きが良かったんですよ」確かに当時の店内に比べると品数が増え、見て回り甲斐もあって楽しい。
オープンから手探り状態で続けてきて、徐々に見えてくることもある。例えば、大抵のお客様は「豊岡鞄って何?」という疑問を持って店に入ってくるという。豊岡が、地名なのか人名なのかもわからない。そこで、最近になって店内には豊岡と豊岡鞄の歴史がわかる年表が壁に貼られた。東京をはじめとする関東一円やそれよりさらに東の人間にとって豊岡は、有名な城崎温泉を擁すると言ったところで、やはり馴染みの薄い土地であることは否めない。ならば、かばんも土地も共にアピールしていかなければ、というわけだ。スタッフが接客できないときでも、お客様にその年表を見ていただければ、豊岡とは、豊岡鞄とはなんぞや?が、大まかに分かるのだ。その他、店内には豊岡を紹介する印刷物なども常備している。
この時期、売り上げ好調なビジネスバッグ。
さて、かばんの売れ筋傾向だが、3月に入って好調なのは、やはりビジネスバッグ。4月からの新入社員もいれば、年度替わりに新しいバッグを、という人も少なくないようだ。(株)由利の新作も大好評で、入荷してすぐの週末で売り切れたとか。
「やはり都内のサラリーマンはリュックのニーズが多いですね。3WAY(手持ち、ショルダー、リュック)のビジネスバッグは今、由利さんの1種類しかないんですけど、3月中旬には木和田さんのものも入ってくる予定です」。レディースは、リュックとショルダーが人気だそうだ。小物は、社員証などを入れるカードケースや、財布も少しずつ売れ始めている。
ネットで見て来られるお客様も増えているが、必ずしもネットで見たものがこの店舗にあるとは限らない。できるだけ置きたい気持ちはあってもスペースの問題その他で1から100まで揃えるのは不可能だ。そして少々厄介なのが、 “豊岡鞄(認定企業による認定がされた鞄)”と“豊岡の鞄”の違い。これを正確にお客様に把握し理解してもらうのは、なかなか難しい現状。「でも、それも豊岡鞄の地名度が上がれば解決していく問題なのだと思います」と井川さんは前向きだ。
財布やカードケースは贈答用にも人気。
バレンタインデーやホワイトデーなど、イベントごとに新作バッグを発表し、ショッパー(紙袋)を変えるなどしているお店も多い中、豊岡鞄ではまだそこまでのことはできない。できないが、「今後はできるだけ現場の声を各メーカーさんに伝えつつ、一緒に新作や限定品なども作っていけたらいいと思います。またメーカーさんからも積極的に新作を出してもらえたら、私たちはそれをどう展開していけるか一生懸命考えていきます」と、井川さんの言葉からは、豊岡鞄の知名度を上げ、広く知らせていきたいという気概が感じられた。
東京生まれの東京育ち、縁あって“豊岡鞄”の店に立つ井川さん、今年はついに初めての豊岡訪問も計画しているそうだ。
豊岡鞄KITTE丸の内店
〒100-7090 東京都千代田区丸の内2丁目7番2号 KITTE1階
TEL:03-6551-2529
Mail:ksite@toyookakaban.com
11:00~21:00(日曜・祝日に限り11:00~20:00)