常識に縛られないかばんメーカーを目指す2017.05.02
1975年の創業以来、大企業や有名ブランドをはじめ数多くのOEMを手掛け、豊岡本社・本社第2工場(A one)・東京(アークス)と、国内に3つの生産拠点を展開しているコニー株式会社。近年は「常識にとらわれないものづくり」を掲げ、ユニークな取り組みも始めている。その舵取りを行うのが、かつてアパレル系の小さな会社に勤めていたという社長の西田正樹さんだ。
「私自身は営業一筋で今もかばんは一切つくれません。それでも30年近く前に縁あってコニーに入社し、誰もが知る有名ブランドを相手に仕事ができることにとてもやりがいを感じました」
実績を重ねて社長に就任すると、韓国オフィスや中国オフィスを相次いで開設するなど、小規模な製造卸会社でありながら積極的な戦略を実行へ。また、業界の大きな不振を経験するなかで、OEM偏重のあり方について見直す方向で進めている。「社長がすべき仕事とは、目の前の売り上げを確保することだけではなく、5年後・10年後の道筋をいかに描くかだと思っています。今は比較的順調ですが、東京オリンピック後の景気が見通せないので、それまでに軌道に乗せるべく2015年秋に立ち上げたのが、自社ブランド『CREEZAN(クリーザン)』。ビジネスバッグは黒か茶、トラベルシーンは軽量化が最優先といった常識にとらわれず、ステレオタイプなモノづくりにチャレンジしようというのがコンセプトです」
その言葉を象徴する一例が、国産としては珍しい革製のキャリーバッグ。これまでナイロンや合皮のキャリーバッグや革のハンドバッグを手掛けてきた、コニー独自の技術とノウハウを融合させたもので、業界的に避けられがちな白いボディがひときわ目を引く。「一般的に白いかばんというのは、展示会用にサンプルまでつくることはあっても、製造や流通過程で汚れやすいなどの理由から商品化されず消えてしまうんです。でも、それはつくり手や売り手の都合に過ぎません。ユーザーが求めるものであればつくるべきだし、困難に挑戦するからこそ我々にとってのスキルアップにつながるはず」
新ブランドを発信する場として2017年6月、城崎温泉にコニーの直営店「CREEZAN城崎本店」が誕生。単なるギャラリーショップではなく、温泉客に立ち寄ってもらいやすいようカフェを併設し、社内スタッフが企画した地元名産・出石焼きのオリジナルそば猪口の販売や、革製品の魅力を体感できるワークショップなども行う。
「普段は生産管理や製造をしている社員から担当を選び、それぞれ任せています。日頃とまったく違う仕事をすることで刺激になるし、得られるものも多いのではないでしょうか。これから入社される方も、そういうことを楽しみながら柔軟な発想で取り組める人に来ていただきたいですね」
西田社長が次々と繰り出すアイデアに最初は戸惑う社員も少なくないが、「また始まった」とみんなが笑顔で受け入れる雰囲気もまた、コニーならではの強みといえるだろう。
企業情報
- コニー株式会社
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- 住所〒668-0062 兵庫県豊岡市佐野81-5
- 電話番号0796-23-6345
- FAX番号0796-23-6344
- 代表者氏名西田 正樹
- 創業昭和50年
- 設立昭和50年
- 主要業務鞄製造
- 従業員数51名(パート含む)